未経験のゾーン入った世界

 世界の平均寿命は今や72歳(WHO年次報告)。意外に高いのです。米国大統領も73歳。マレーシアのマハティール氏が首相に返り咲いたのは93歳です。これほど多くの高齢者が長く元気に活躍している社会は、実は人類にとって未経験。もはや、ひと昔前とは違う新しい社会です。医学、哲学、経済学、法学も、もちろん政治もビジネスも、発想を変えた対応が必要です。

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民事信託普及のために

 今年2月、ハワイで日弁連信託センターの家族信託の調査に参加。弁護士が様々なメニューを提供し、市民も活発に利用。難問は、財産を預かる受託者探し。弁護士は信託の仕組みを作った者が受託者になるのを問題視し、訴訟のターゲットになるのも嫌い、一般に受託者は回避するようです(日本では、弁護士が仕事として受託者になることは回避以前に違法とされます)。ところが、ボストンでは伝統的に弁護士も受託者になるそうです。さっそく、この夏、ボストンにも調査に行くことにしました。信託が普及しない日本では、弁護士も受託者になれるよう法改正すれば、信託普及の契機になります。調査が楽しみです。


日本の独自性を逃げ道にするのは疑問

 メモを許すといくつも弊害があるというのです。多くの裁判官が、本気でそう言っていました。メモが自由になったのは、アメリカ人の若い弁護士が裁判をしたから。結局、メモが許されても、弊害などなし。グローバルスタンダードが正しかったわけです。今、日本独自の勾留制度や捜査手法も、国際的批判に晒されています。こういうとき、日本の独自性を持ち出すと、思考停止になりがち。どの国にも、よく似た課題があるのです。大いに議論が必要です。


民事版裁判員制度

 裁判員制度導入後、来年で10年。問題を抱えつつも、着実に定着しています。裁判所に市民が入り、裁判官の意識も変化。この裁判員制度や陪審制度を、市民に身近な民事事件に導入すると、日本の裁判はもっと市民に身近なものになり、劇的に変わります。東京の三つの弁護士会も、本年7月初め、このテーマでシンポジウムを開きました。私もコーディネーターとして参加。熱っぽい議論から、可能性が見えてきました。

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日弁連に信託センター

 高齢化の進むわが国。資産を守り、適切に管理するには、信頼できる第三者に信託を設定する仕組みが有望です。信託は、十字軍遠征の兵士が、土地を他人に託して妻子の生活を守るために生まれた歴史ある制度です。

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弁護士費用の敗訴者負担

 訴訟の敗者に相手の弁護士費用を負担させるのは、一見、公平です。欧州はそうで、日本や米国は各自負担。しかし、敗訴者は簡単に払いません。そこで、最近、スイスでは、訴訟提起時に原告に被告の弁護士費用を予納させることにしました。周到な制度ですが、訴訟も減少。

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カルパが特効薬

 フランスの弁護士会にはカルパという仕組があります。弁護士が依頼者からお金を預かると、弁護士会管理の預金口座に入金が義務付けです。

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